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ぎゃらりぃ 日月

正祥もの変遷 vol.5 (釉薬の基本的な考え方)

まず釉薬ですが、大きく2つに分けて透明釉(石を融かしたもの)と、つや消し釉(土を融かして出来るもの)とがあります。
透明釉をつや消し釉にするには、土(カオリン)を入れればよい、というのが釉薬の基本的な考え方です。
作者のvol.1と4の青磁が透明釉に当り、vol.2と3がつや消し釉になります。
以下、カオリンを加えることで青磁釉がどのように変化していったのかをみていきたいと思います。

正祥もの変遷 vol.5 (釉薬の基本的な考え方)_d0138203_794213.jpg

vol.1で紹介いたしました作者にとってのオーソドックスな青磁(透明)釉です。
作者は釉のテカリ具合がなんとも気に入らず、それを抑えるためにカオリンを添加したり、焼成方法を変えてみたりします。


正祥もの変遷 vol.5 (釉薬の基本的な考え方)_d0138203_7175153.jpg

そうした中で生まれたひとつが、vol.4で紹介いたしました条痕青磁釉です。
まだ透明感が残っており、さらにまったりとした青磁釉になるよう試験を重ねます。


正祥もの変遷 vol.5 (釉薬の基本的な考え方)_d0138203_7205567.jpg





その結果vol.2で紹介しましたつや消し釉の青白磁釉が生まれてきました。
作者の基礎としている釉にカオリンを加えていくと、色目はどうしても青から緑へと変化します。
このあたりの説明はかえってややこしくなりますので省きます。

釉肌自体にテカリは無くなったものの、色目が気に入らないと言って作者はまた試験を始めます。
今度は色の方ですから、鉄ならびにその他の鉱物を加えたり引いたりしていく作業をします。
vol.2でも書きましたが、青磁釉は鉄による発色ですから・・・


正祥もの変遷 vol.5 (釉薬の基本的な考え方)_d0138203_7344869.jpg


で、最終的に納得したのがvol.3で紹介しましたつや消しの青磁釉となる訳です。

釉薬の基本的な考え方と作者の青磁釉の流れ、ご理解していただけたでしょうか?!


下の写真は最近の青白磁と白磁です。
これは上でみてきた青磁釉と基礎釉が異なるので、つや消し釉でも青の発色をしています。

正祥もの変遷 vol.5 (釉薬の基本的な考え方)_d0138203_7432723.jpg正祥もの変遷 vol.5 (釉薬の基本的な考え方)_d0138203_7434090.jpg
by utuwa-seisyo | 2009-01-23 07:54 | ひとつの作品が出来るまで | Comments(4)
Commented by spank at 2009-01-23 10:00 x
青磁は好きな釉薬で、昔は良く使ってましたが、今は焼きが違うので、使えてません。

温度と焼きで使えなかったりそろわなかったり、なかなか試行錯誤ですが、釉薬は奥が深くてはまりますね。

春らしい色が欲しくてテスト中です。
Commented by utuwa-seisyo at 2009-01-23 15:52
釉薬は面白いですが、遣り出したらきりが無いですね。
春らしい色・・・
spankさんの春はどんな色?
楽しみです^^
Commented by masharu1002 at 2009-01-23 21:56
すごいですねぇ
器作りも試行錯誤の日々なのですね
カオリンって中国の土ではなかったでしょうか?>違っていたらすみません。なんかウエッジウッドのボーンチャイナが生まれた歴史を教えていただいた時に聞いたのです

条痕青磁釉、とっても素敵だと思います>もろ好みです♪
最近の磁器も本当に素敵ですねぇ
実際に目で見てみたいです
Commented by utuwa-seisyo at 2009-01-24 11:50
よくご存知ですね。
中国の高陵から採掘された粘土でカオリンと呼ばれています。
世界各地、日本にもありますが、陶芸材料やさんでは朝鮮カオリンが主体です。
うちでは青磁に使う場合、朝鮮カオリンよりも白くてきめの細かい北鮮カオリンを使用しています。

春の陶器市のとき、在庫があれば持っていきますね^^